労働能力喪失期間はどう決まる?67歳までが原則となる理由
逸失利益の計算で使う労働能力喪失期間は、原則として症状固定時から67歳までです。67歳は就労可能年齢の実務上の区切りとされています。ただし、むちうちの神経症状や高齢者については重要な例外があり、ここが交渉の争点になります。
原則:67歳まで
35歳で症状固定なら喪失期間32年、45歳なら22年です。この年数に対応するライプニッツ係数を掛けて逸失利益を算出します(係数の記事)。
例外1:むちうちの神経症状は期間が制限される
- 14級9号:5年程度に制限する運用が多い
- 12級13号:10年程度に制限する運用が多い
「神経症状は時間とともに慣れ・軽減する」という考え方によるものですが、機械的な制限には争う余地があります。症状の重さ・業務への影響次第で、より長い期間が認められた裁判例もあります。
例外2:高齢者は「平均余命の1/2」と比較
67歳までの年数が短い高齢者は、「67歳までの年数」と「平均余命の1/2」のいずれか長い方を使います。例えば70歳の方でも、平均余命の1/2(数年〜10年程度)の喪失期間が認められます。年金生活者の逸失利益も一律に否定されるわけではありません。
例外3:若年者(学生・子ども)
未就労の若年者は、原則18歳(大卒予定なら22歳)から67歳までを喪失期間とし、基礎収入には賃金センサスの全年齢平均を用います。
交渉での注意点
- 保険会社の提示する期間・係数が原則どおりか確認する(短く設定されがちです)
- むちうちの期間制限には、症状の実情に基づき反論する
- 高齢者・主婦・若年者は、属性に応じた計算ルールを正しく適用させる
よくある質問
Q. 14級で「3年分しか出せません」と言われました。
5年を下回る提示には根拠を求め、症状の継続性を立証して交渉しましょう。差額は数十万円になります。
喪失期間の適正化で逸失利益は変わります
虎ノ門法律経済事務所横須賀支店では、喪失期間・係数を含めた逸失利益の再計算を無料相談で行います。
※本記事は令和8年7月時点の実務基準に基づく一般的な情報提供です。個別の事案については弁護士にご相談ください。
この記事の執筆者

弁護士法人TLEO 虎ノ門法律経済事務所横須賀支店
横須賀支店長・パートナー弁護士・税理士
中村 賢史郎
保有資格弁護士、税理士、司法書士有資格
専門分野交通事故事件・相続事件・不動産事件・破産事件を主に取り扱う
広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。交通事故事件では、裁判基準による適正な賠償額の実現を目指すとともに、依頼者の精神的なご負担を少しでも軽くすることを信念としています。
広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。交通事故事件では、裁判基準による適正な賠償額の実現を目指すとともに、依頼者の精神的なご負担を少しでも軽くすることを信念としています。
経歴広島大学法学部夜間主卒業
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員


